吸血鬼

人間の見た目をした、人間とは異なる怪物であり、人間の血を好んで吸う存在。

怪異および魔物の退治を専門としている協会の定義によると、次のような存在を「吸血鬼」として扱っている。

  1. 吸血によって人間を自身の眷属である吸血鬼へと変えるもの
  2. 前項の吸血鬼によって吸血鬼となったもの

また、種族としては同じ吸血鬼に括られるが、この定義によって、元々吸血鬼だった者と、吸血鬼によって吸血鬼にさせられた者の大きく2種類に分類される。特に“吸血鬼”としてこの世に生まれてきた存在を「真祖」と呼んで、特別な吸血鬼として扱う。

吸血鬼の主な特徴として、人間の血を好んで飲むことと、身体能力が人間より高いことが挙げられる。
また、身体的特徴として、髪は白く、瞳が赤いという傾向があるが、個体差があるため、身体的特徴から吸血鬼であると断定するのはやや困難である。これに対し、鏡に映らないという特性や、招かれなければ入れないという特性を利用する判別方法がある。
他にも弱点として、太陽光に弱い、銀に弱い、聖水に弱い等があり、これらの弱点を突くことで人間の力で討伐することが可能である。
ただ、吸血鬼の特性も個体差があり、太陽光に対して、肌に突き刺さる痛みは感じるが致死光ではないという形で太陽光を気にしなかったり、器用に自身の吸血鬼の特性を打ち消して人間に擬態している吸血鬼も稀に存在しているため、吸血鬼に対する予備知識も万能ではない。日中から積極的に活動している吸血鬼がいることもまた事実である。
特に前述の真祖はこのような特性や弱点の大半が無効になっていることがあるため、もし討伐する場合は入念に弱点を調べ、対策をしておかなければならない。

唯一、真祖を含め吸血鬼全てに当てはまる弱点として、銀製の武器で心臓を貫くことで確実に仕留めることができる。また、このような有効打がなくても杭などで心臓を貫いて“拘束”しておけば無力化させることは可能である。

吸血鬼は血を主食とするが、人間と同じ食生活をして暮らしていくことも可能である。ただし、吸血鬼本来の吸血衝動はそれなりに強く、確固たる信念による吸血への拒絶がなければ成し得ない。
稀に吸血を一切行わず、人間と同じく寿命により生涯を終えることを選択する個体もいる。

血を吸われた人間は同じく吸血鬼となると言われているが、これは理性のない(彼らからすれば“下等な”)吸血鬼によって無秩序に行われるものであり、並以上の(彼らからすれば“高貴な”)吸血鬼は吸血行為を「契約」として取り扱う。
この契約に従い、気に入った者は吸血鬼にして自らに従わせ、逆に吸血のみ行って相手を吸血鬼にしないことも自由に行える。

人間の血を吸ったり眷属化させたりしなければ吸血鬼は人間にとって無害であり、人間と共生することも可能である。しかし、人間側が吸血等で害される危険性があること、また吸血による眷属化が発生すると感染のようにどんどん被害が拡大していくこともあり、人間の生活が脅かされるという観点で共生を拒む意見が主流である。
このため、地元の住民の理解を得て、時には利益を与えるなどして信頼関係を築いてその地に定住するか、自身が吸血鬼と悟られないよう隠れ、また各地を転々と移住していくか、というどちらかの選択を取る吸血鬼が多い。

そういう選択を取らず、人間を害する吸血鬼が存在する。それを狩るのが「ヴァンパイアハンター」である。