悪堕ちした際に身に着けた能力や、容姿や衣装の変化の一部、または全てを引き継いだ状態であることを「堕ち名残(おちなごり)」、その引き継いだ部分を「名残悪(なごりあく)」と呼びます。例えば「ゼノブレイド」(2010)のフィオルンは、序盤で命を落としたと思われていたものの、後に機械化されて生存していることが判明、彼女の意識が眠っているため一時期主人公たちと敵対していましたが、最終的に覚醒し、機械化されてパワーアップした身体のまま仲間に復帰しました。また、「ライン・ヴァイスリッター」も同じような堕ち名残です。

悪堕ちの反対は覚聖ですが、この覚聖と堕ち名残は非常に相性が良いです。単純に悪堕ち状態を経たという経験値の上昇だけでなく、悪堕ちした時に自らが取り込まれてしまった悪の力を克服するという成長の物語を実感でき、一方で味方に復帰したとしても元の姿には戻れないという不可逆性を同時に見せつけるシチュエーションであるため、覚聖する可能性がある悪堕ちでは非常に好まれる手法です。

※「悪堕ちのユウワ」より抜粋