- 「夢オチ」の結末に対して読者が落胆して闇堕ちすること
- 登場する対象者の別個体が悪堕ちした状態のこと
ここでは後者について説明します。別個体とは主に
- 対象者の陰や分身
- 対象者のクローン
- 平行世界の対象者
- 未来の対象者
であり、これらが既に悪堕ちした状態で登場することを指します。「この物語は夢だった」という展開で締めることを「夢オチ」と呼びますが、夢オチはそれまでの世界をなかったことにされるという観点で、読者を落胆させることも多く、安易な使用は禁じ手とされています。このように本来世界に存在しないもの、偽り、消えることが前提なので儚く感じるものを「夢」と呼ぶわけです。
悪堕ちは堕ちる過程の描写も重要ですが、夢堕ちは、これらの過程を飛ばし、既に堕ちた状態で物語の中に、「現在の自分」の前に現れます。悪堕ちの要素として、ギャップ萌えを尊重する人にはあまり気にならず、むしろ素晴らしいシチュエーションですが、過程を重視する人には単なる色違いが登場した、これは悪堕ちではない、と捉えられてしまうことがあります。悪堕ちの解釈として、現在の自分(悪堕ち対象者)が堕ちないのであれば、たとえ未来や平行世界の自分、また自分のクローン体が悪堕ちした姿で現れたとしても悪堕ちと認めない人もいます。こういった状況を夢堕ちと表現し、区別する場合があります。 しかし、やはり夢堕ちは魅力的な悪堕ちと考えております。既に何らかの理由で悪堕ちした自分が、まだ悪堕ちしていない現在の自分を連鎖堕ちさせようとする状況。顔も記憶も一緒、ただ悪堕ちして性格は変わり、衣装も悪の装いになった自分が、自分の仲間にしようと、悪に引き込もうと迫ってくるのです。自分の弱点を知り尽くしているもうひとりの自分に、もはや抗う術はありません。悪堕ちした自分が、自分を連鎖堕ちさせようとする悪堕ちの予定調和は美しいものではないでしょうか。
※「悪堕ちのユウワ」より抜粋