作品名

for myself

ペンネーム

krnt

作品内容

旅立ち

「マリー、起きなさい。今日は大事な日なのよ」
「あともうちょっと寝かせて」
「そんなこと言える日じゃないでしょうが、今日は明日の義勇兵募集のため、朝から王都アウレウムに向かわないと間に合わないわ」
「そうだった、ありがとうお母さん、昨日から準備して緊張して眠れなかったんだった」

私はそう言われてまだ寝ぼけていたがベッドから体を起こした。

「朝食は用意してたから、荷物の方は母さんがもう一回チェックしておくから、しっかり食べなさい」
「わかった」

そういって私は部屋から出て居間に向かい、テーブルに置かれた朝食を見て、

「ボリュームが凄い・・・」
「そりゃ、そうだ我が娘の門出だ、うちが貧乏だからって遠慮することはない、しっかり母さんの手料理を味わって、王都でも頑張りな」
「お父さん、ありがとう」
「後で母さんにも言いなさい、いつもの通りちゃんと起こしてくれたんだから、王都だとちゃんと一人で起きれるか心配だがな」
「ちゃんとしっかり早く寝て、早く起きるから大丈夫よ」
「いつもギリギリなのにか?」
「う・・・そこはその、ちゃんと頑張るから」
「まぁ、お前が頑張り屋さんなのはよく知ってるからな、とにかく無理はするなよ!」
「ありがとう、お父さん、向こうに行っても頑張るから!」
そういって私はいつも以上に張り切って作ってくれた母さんの手料理を完食し、部屋に戻り、肩当てにオレンジを基調とした軽装に着替え、ショートソードと荷物を背負って外を出た。

「それじゃあ、行ってくるね、母さん、父さん!」
「頑張ってらっしゃい」
「王都に行っても元気でやるんだぞ」
「はい!」

私は両親に向けて思いっきり手を振り終えた後王都に向けて出発した。

「それにしても、もうあの子も16歳か・・・」
「そうだな・・・」

ここはルドベキア王国、自然豊かで花が咲き誇る国であるが、100年前この王国には魔王ヘーゼルという脅威があった。
魔王ヘーゼルは膨大な魔力によってルドベキア王国を焼き払い、魔界から魔物を呼び人々を襲い苦しめていた。
そんな中イリスというルドベキア王国の端にある辺境の村イリスから、勇者ルキアが立ち上がった。
ルキアはイリスが魔物に襲撃され滅ぼされ、当時のルドベキア王であるブランカ王の騎士団に入り、そこで鍛え上げ、そしてブランカ王とともにルキアは魔王の討伐に成功した。その後ルキアは勇者として騎士団の団長をしていたが、突然姿を消してしまった。そして50年前再びこの国に脅威が迫ったのである。
自分こそは勇者の末裔であると主張し、魔王ヘーゼルが支配してた領地を治め、ロンド帝国を築き上げたローデン皇帝が宣戦布告をし、ルドベキア王国に攻め入ったのだ。
そしてその戦いは40年の年月を経て、両者多くの犠牲を払った結果、ローデン皇帝を討ち取ったルドベキア王国の勝利で終わった。現在まで平和であったが、突如魔王ヘーゼルを崇拝し、魔界から魔物を呼び始めた邪教徒と、ローデン皇帝こそ真の勇者であると崇拝し、復讐に燃えるロンド帝国の残党が手を組み各地で暴れ始めたのである。
しばらく平和が続いた結果1年前に王位継承された現国王シバが、王国全土に義勇兵の募集をかけたのである。
かつて辺境から勇者が生まれた伝説を今ここに蘇らせるために・・・

出会いと最初の任務

「ふぅー、やっと王都に着いた!」

私はずっと歩き続けて途中で宿屋に泊まったりして何とか王都アウレウムについた。
王都は私が暮らしていたカランとは全然違い、木造じゃなくて、石造で出来た高い建物が大きく、王都を護るための高い壁にそれよりも歩いてる人の多さ、故郷じゃあみんな知ってる人が歩いていることが多いけど、こんなに人が多いと誰が誰だか見分けがつかなかった。

「で、どこだろう義勇兵募集の集合場所・・・」
「旅のお方、王都にようこそ、そんなに大荷物ってことは、ひょっとして義勇兵募集で来たのか?」

困っていると衛兵が声をかけてきた。

「あ、はいです」
「そうか、こんな大荷物だからそうだと思ったぜ、一人じゃ心細いだろ、義勇兵募集の集合場所まで案内してやるぜ」

私は衛兵に案内されて、集合場所になんとか着いた。

「ありがとうございました!」
「おうよ、それじゃあ頑張りなよ!」

優しい衛兵さんと別れ、集合場所で待っていると、豪華な装飾をしているが、頼りなさそうな青年が壇上に現れた。
彼こそがこの国の現国王シバである。シバ王は短い言葉で私達を鼓舞した後すぐに壇上から去り、シバ王に紹介された義勇軍の隊長に任命された、いかつい顔をしたお父さんぐらいの年齢のシモン隊長が、明日の最初の任務について説明をしつつ私達を勇気づけた。そして私達は衛兵に義勇軍用の営舎に案内されて、明日までそこで休むことになった。そして一緒の部屋になり、私と同じショートヘアで同じ体格ぐらいで、肩当てに黄色を基調とした軽装を着て、あの勇者様の出身地で今は復興したイリス出身の可憐な女性ラニとお互いの故郷の話をしてベッドで休んだ。

そして翌日朝から出発し、途中休みながら最低限の連携訓練をしながら敵の拠点に到着した。
シモン隊長は昨日みたいに私達を勇気づける演説をした後剣を掲げ、親衛隊も活躍しているから無茶するなと言うと、そのまま敵陣に向けて一気に駆け抜けて行った。私達義勇軍もここまでの行軍での訓練通り動きつつ走り抜けた。
魔物ももちろんだったが人を斬るのも初めてだったけど、この国を苦しめた悪い奴って思ったら、簡単に斬れて最初は恐怖でいっぱいになったけど、ここで怯んでたら憧れの勇者やかつての戦争の時に助けてくれたあの人のようになれないと思うと勇気が湧いてきて、次以降もあっさり斬れてなんとかすぐに吹っ切れた。隣にいたラニも顔は恐怖でいっぱいだったけど、ちゃんと体が動いてレイピアを振るっていて安心だった。
そしてずっと敵を斬り続けてどれほどの時間が経ったか分からない頃にはなんとか戦は終わっていた。

「終わったのかな?」
「そうみたいですね・・・」

それぞれそう言うと今までの疲れがどっと出て、お互い座り込んでしまった。

「諸君、なんとか耐えきってくれてありがとう、数十名の犠牲は出てしまったが、義勇軍の栄光ある初勝利だ、やはり君たちはこの国の新たなる希望だ!」
「相変わらず鼓舞だけは上手ねシモン、数だけある民草が希望なんて馬鹿げているわ」
「これはこれは、ロベリア親衛隊隊長!わざわざこちらに来てくださったのですか」
「どんな無謀な奴らが集まったかどうか見に来ただけよ、まぁこちらの足を引っ張らないでくれればいいわ、結局あなた達が出来るのは援護ぐらいよ、最後は由緒正しい血筋を集めた私の親衛隊が、ルドベキア王国に仇なす敵を一掃するんですから」

そう言うと、重そうなプレートアーマーを着ていたが、颯爽とロベリアは去っていった。

「あの人がロベリア親衛隊隊長・・・」
「その複雑な表情はどうしたのマリー?」
「あの人ね、昔戦争で私が両親と逸れて敵に襲われそうになったときにね助けてくれたの、もう亡くなってしまったアリウム王子と一緒に・・・あのときは、かっこよくて優しい人に見えたのに・・・私が騎士になりたいって思ったのもあの人に助けてもらって、そしてあの人みたいにこの国とアリウム王子を守りたいって思ったから」
「そうだったんだ」

そんな会話をしつつシモン隊長が集合の合図をし、私達義勇軍は帰還していった。

悲劇の始まり

私達義勇軍は最初の戦いのあともずっといろんな場所に赴き親衛隊の援護という形で戦い続けていた。
その後ロベリアさんに一度も会えずにいた。あの時の御礼をし、あなたを目指して頑張ってきたことを伝えるだけなのに、義勇軍の一員として出会った時に言っていたが本当にこちらのこと興味ないみたい

「それにしてもマリー、残党全然減らないわね、まさかここまでの規模だったなんてね」
「そうね、だけどラニ、大変かもしれないけど平和のために頑張ろうよ」
「ずっと一緒に過ごしてるけど、あなたの前向きな気持ちと笑顔で何度も救われたわ」
「こっちこそ、あなたの剣術で救われたこと多いからお互い様よ、今日も背中任せるね」
「はい!」

そして今日も私達は親衛隊の援護として敵の拠点に向かった。この様子だと今日も圧勝で終わると思っていた時、そいつが現れた。全身真っ黒で見たこと無い武装や格好で顔を隠された人が一気に私達義勇軍は蹂躙されていった。
そして急に魔法陣が浮かびあがり、ベールで顔は隠されているが、まさに魔女という見た目に相応しい女性が現れた。

「私が持ってる技術と魔法の結晶である最高の兵器アバターはいかがかしら」
「あなたは一体何者!」

私はすぐに剣を持って立ち上がり、魔女の風貌の女性に斬りかかるが、先程紹介されたアバターに防がれた。

「くっ・・・」
「無駄無駄、このアバターに着させてるサイバースーツにはこの世界の武装じゃあ絶対に通らないから、それにしてもやっと会えたわねマリー!」
「どうして、私の名を!というかあなたは一体何者?」
「名前については答えられないけど、とりあえず帝国の残党と邪教徒共に担がれた魔女とだけ・・・まぁあんな奴らなんてどうでもいいけどね!アバター、とりあえずマリー以外は殲滅でよろしく、あとは指示通りに動きなさい!私は元気なマリーを見れただけで満足だから・・・」
「了解・・・」

そういうと魔女は魔方陣を再び起動させてアバターを置いて去って行った。

「ちょっと、待ちなさい!」
「あなたの相手は私、よそ見する余裕あるの?」
「くっ」
「マリー、手助けするわ!」

私とラニはアバターと呼ばれた人と交戦するが、彼女の小型の大砲のような武装が義勇兵が集まってるところに炸裂し、どんどん被害が増える一方であった、
何とか隙を見て攻撃をするけれど、結局彼女に傷一つもつけずにいた・・・。そして・・・

「こんの、くらいなさい!」

ラニがアバターの一瞬の隙を見て渾身の一撃を放ち、アバターの隠された顔を露出させたそこに現れたのは

「どういうこと・・・」
「マリーさんと瓜二つ・・・」

私と瓜二つの女性がそこに立っていた。

「バイザー破損、作戦行動に支障なし、このまま継続します」

と無表情で冷酷に私と瓜二つの顔をしているアバターは再び暴れ出した。
先程と違って何も知らずに闘ってたのと違って、私と瓜二つしているってだけで一気にやりづらくなった。
そして私達はもう数人しか残っておらず、シモン隊長も討ち取られ、最早ラニや私も含めた数人も風前の灯だった。

「強すぎる・・・このまま終わりだなんて・・・」
「ラニ・・・こんなことって・・・」
「これで終わりよ」

アバターは、倒れているラニに銃口を向け止めを刺そうとしていた。だが次の瞬間にはアバターがふっ飛ばされていた。

「いつも以上に陽動が激しいと思ったがそういうことか、まぁここまでよく持ったところかしら?」
「ロベリアさん!」

ロベリアさん含む親衛隊が駆けつけてくれたのだ!

「ところでなんであなたに似てるのかしらそこのやつ、ええとあなたは確か?」
「マリーです!」
「マリー、まぁいいわとにかくそこのやつをさっさと片付けるわよ!」
「了解!」
「作戦時間終了、作戦に関してはほとんど達成済みと報告し、帰還します」

親衛隊がアバターを囲もうと包囲しようとしたその時、眩い閃光がアバター中心に輝き、閃光が消えるとアバターは消え去っていった。

「ち、のがしたか・・・それにしてもただの集まった残党があんなものを隠していたとは・・・シモンもやられてるか。
ち、生き残った奴らは我々親衛隊についてきなさい!ここまでの様子だと遅れないよね?文句は言わさない、すぐに撤収するわ!」
「は、はい!それでラニ立てる?」
「い、いや、来ないで!」
「ラニどうしたの?」
「あ、ごめんなさい、マリー、さっきのアバターと勘違いしちゃって・・・出来ればちょっと落ち着いてから行くから後で行くね・・・」
「う、うん、わかった」

私は動揺しながら、なんとか生きてる義勇軍の数人をまとめようとしたが、先程のラニと同じ反応をみんなしてしまい、私一人で親衛隊に追いつき、ロベリアさんに事情を話した。
その際もロベリアさんはこれだから庶民はお気楽なのよって言って、自分を置いていくように一気に親衛隊を引き連れて疾走していった。私は一人で営舎に戻り、その後遅れてなんとかラニ達他の数人だけになった義勇軍も帰ってきた。その後ラニが部屋に戻って来たけれど、ラニはすぐにベッドに入って寝てしまった。私も体と心が傷つきながらもそのまま寝た。

運命

アバターによる蹂躙から数日後私たち義勇軍は待機を命じられていたけど、私はほかの人たちから避けられることが多くなった。やはり私と同じ顔をしたアバターを思い出すせいだった。
私自身も死んじゃうかもって恐怖はあるから気持ちはわかったけど、避けられすぎて大げさに感じてしまって、待機も命じられたこともあってちょっとずつ不満が溜まってきたころ

「マリーだな?」
「ロベリアさん、急にどうしたんですか?」
「貴様を捕縛する!」
「ど、どうしてですか!?」
「義勇軍の溜まってる無駄な物資の数々に、アバターと瓜二つな顔だけじゃなく、敵のスパイ疑惑でだ!」
「私、そんなの関係ないですよ!アバターに関しては本当に訳が分からないし・・・」
「とにかく縄につきなさい!」
「は、はい・・・」

私はロベリアさんの気迫を前に何も出来ずにいて、そのまま捕まって地下牢に連れていかれてしまった。
そしてしばらくするとラニも含んだ義勇軍の仲間が来てくれた。

「ラニ、それにみんな助けに来てくれたの?」
「ごめんなさい・・・」
「ラニ?」
「私たち、義勇軍を辞めることにしたんだ。ムスカリって大臣に、この先の作戦、貴様たちを親衛隊の肉壁として連れていく、それが嫌だったら義勇軍をやめて、マリーを犠牲にしろって・・・」
「な!どうして、私たち一緒に過ごして仲間なのに・・・そしてラニはずっと王都に来てからの親友じゃん・・・」
「だったらさ、なんであのアバターと瓜二つなのよ!」
「それは・・・」
「私たちはもうあんな怖い思いしたくないのよ・・・」

そういうとラニや義勇軍の仲間は去っていった。

「どうしよう・・・」
「お困りのようねマリー・・・」
「あなたは、あの時の魔女!」

最初から地下牢で一緒にいたと錯覚するかのように魔女はいつの間にか私の隣に座っていた。

「それにしても、私が昨日、親衛隊の前でベールを脱いですぐにやるなんて、やっぱり世界や運命は私たちの敵よね・・・」
「どういう意味ですか?」
「その前にあなたには正体を明かさないとね・・・」

そういうと魔女はベールを脱いだ。

「う、嘘・・・」
「改めて、私はマリア、別の世界でのあなたよ・・・」

アバターと同じでマリアと名乗った魔女も顔が瓜二つだった・・・

「それにしても別の世界って?」
「そこも含めてあなたのこの先の運命、そして、私の話をしないと・・・」
「私の運命・・・」

マリアさんの説明によると、私は魔女と通じていた裏切者、そして王族や大臣達の腐敗によって隠されていた物資の証拠隠滅として処刑されることだった。
王族や大臣達の腐敗は昔からひどく勇者様も、それで嫌気が差し、自分の存在が利用されないために黙って消えていったのが真相だった。

「この国がそんな国だなんて・・・それで私はその全責任を取るなんて・・・」
「嫌よね・・・だけれどね、私達は世界からそういう運命として生まれた者として扱われているのよ・・・」
「どういうこと?」
「それについては私がなぜ魔女になったか教えるわ・・・」

私は自分の世界で16歳の時に学生で、まぁあなたの世界でいう騎士見習いみたいなものよ、それで普通に過ごしていたわ。
そんなある時妖精さんと出会ったの、その妖精さんは自分たちの世界を滅ぼした悪魔がこっちにも来るから、助けないとって命からがらで来たの。そして私に宝石を託してそのまま倒れたの、私はその宝石の力を借りて、白い学生服をもとに作った衣装で魔法少女として悪魔と戦ったんだけど、力が足りずに負けて、そしてその悪魔達に利用価値があるとされて洗脳と改造されて、黒い学生服を着た悪の魔法少女として悪魔の部下としていろんなことをやったわ。最初は自分の両親を殺させて、私の心をさらに弱めて洗脳を強くさせて、そして親友や大切なものを全て壊させて、もう私の世界が悪魔達によってあとちょっとで滅ぼされそうな時に、急に飽きたって悪魔たちの気まぐれで洗脳が解除されて、処刑されそうになった時に思ったの、私の人生はどこで狂ったんだろうって。そう思ったら、走馬灯のように流れてきたの、私と同じ顔をした子たちが裏切られたりして最終的に捨てられる光景が一気に見えたの。
それで思った、自分を狂わせたのは運命であり世界であるって、そして私は悪魔によって改造された宝石に願いを込めた、自分を裏切った世界と運命を破壊尽くす力を。そして自分と同じ顔をし裏切られ捨てられる、違う世界にいる並行世界の自分達を救う力を。その結果宝石は割れちゃったけど、私は悪魔達を超える力と不老不死を得て、悪魔達を殲滅し、私以外の存在を滅ぼしたわ。そして自分の世界を悪魔達によって荒らされてたのを再生し、いずれ私が救った子たちだけの楽園にするために・・・

「これが私が魔女となった理由よ・・・」
「マリアさん、あなたも苦労したんですね・・・だったらあのアバターって人は・・・」
「あれは私の細胞と因子で作った人造人間、悪魔達が作った実験の一つで利用させて貰ってるわ。まだ世界と運命に復讐するのに同志が足りないからその補填よ、自分の世界を再生しつつ、世界と運命に戦う準備としていろんな世界を旅をしてその知識と技術で作り上げた私の最初の同志よ・・・」
「だから私と瓜二つだったんですね・・・」
「そうよ、アバターを使ってまずは並行世界の自分を全てを救うことにして、最初に選ばれたのがあなたよマリー・・・」
「私が・・・」
「えぇ、どんな手段を選んでも、そして世界と運命が私達を裏切り見捨てるんだったら、世界にとっての悪になりましょう。あらゆる世界と私達の運命に復讐をし、そして並行世界の自分を全て救うため、あなたにも力を貸してほしいわ・・・」
「それは・・・」
「この国・・・いいえこの世界はずっと腐敗してる、魔王が荒らし、勇者が救って、そして、浅はかだったけど、この世界を変えようとした皇帝が現れようとも何も変わらなかった。そんな世界の味方でいたいの?本当に世界を、そして自分の運命を変えたいならこの世界を破壊して、そして私と一緒に救いましょう、私たちと同じ顔をし、裏切られ捨てられる運命にある並行世界の自分たちを!」
「ちょっとだけ、頭を整理させてください。いろんな情報が入りすぎて混乱してて。急に牢屋に入れられ、親友や仲間に捨てられて、そしてこの国に裏切られて、もう何がなんだかわからないんです・・・。」
「そうね、さすがに私も一気に話過ぎたし、強引に迫りすぎたわ、だけどこの国はさっさとあなたを処刑させて、士気を高めようとしてるわ、次私が現れる時まで考えをまとめておいてね、私はこの世界で唯一のあなたの味方なんだから・・・」

そういうとマリアは魔方陣を起動させて去っていった。

「(マリアさんの話が本当なら、もうこの国、いいえこの世界に味方なんていないんだろうな・・・。ラニや義勇軍は肉壁になりたくないし命大事さに私を捨てて、ロベリアさんは何があったかわからないけど変わりすぎて私の事なんて見てくれないし、そしてこの国、偉い人は皆勇者様が呆れる程の腐敗をしていて、私の理想としてた国じゃないんだね・・・私の夢はもうこの世界じゃあ叶うこと無いんだね・・・)」

情報を整理してると段々それが現実だって受け入れ、そして涙が出てきた。

「(お父さんとお母さんは今どうしてるんだろう・・・私のことを無実だって信じてるのかな、それともラニや皆みたいに私のことを見捨ててるのかな・・・)」

最後に両親のことを思い返して、泣き続けた私はそのまま疲れて眠ってしまった。

「おい、起きろ!」
「う、うーん・・・」

どのくらい眠ってしまったかわからないけど衛兵が私を起こしに来た。

「お前の処刑が決まった。後1時間後だ・・・それにしても貴様の両親はバカだったな・・・」
「え?どういう意味ですか!」

まだ頭がさえて無かったけど、両親のことを言われたら急に体を起こし鉄格子を掴んで立ち上がった。

「貴様の両親は娘の無実を主張しようとして田舎から飛び出し、王都に来て直訴してきたんだ。その結果反逆罪ってことでその場でロベリア親衛隊隊長が斬ったわ!」
「そんな・・・」
「ふん、親子揃ってバカだったな、この国に逆らうなんてな!」

私はその場で崩れ落ちて、衛兵は笑いながら去っていった。
私はそのまま何も動かずに30分経っていった。

「ごめんなさいマリー・・・」

私がずっと崩れ落ちていたところにマリアは急に現れて私の縮こまった背中を抱いた。

「マリアさん・・・どうして謝るんですか・・・」
「実はあの後、あなたの両親が田舎から飛び出したって情報を掴んだんだけど、王都に行くのを止めようとしたんだけど、着いた時にはもう王都で直訴していて、本当にごめんなさい・・・」
「マリアさん・・・」
「私は、並行世界の自分を救うって言ってるのに、本人ばかり見てて、その大切なものまで見ていられ無かったなんて・・・これから皆を救う資格なんてないよね・・・」
「そんなことないですよ、全部悪いのはこの国でこの世界でそして私たちの運命なんでしょ!」
「マリー・・・」
「実は言うと両親のことを疑ってました。ラニや仲間みたいに自分の為に裏切るって自分を見捨てるんじゃないかって・・・だけどそんなことなかった・・・一瞬でも疑った自分が悪いんです・・・それが私の運命に翻弄されて殺されるなんて最悪じゃないですか!」
「そうね・・・やっぱり世界と運命は私達を裏切った元凶よね・・・ありがとうマリー・・・おかげで決意をさらに固められたわ・・・そしてその顔は決心した?」
「はい、両親ですら見捨てた、世界と運命に戦うことを決意しました。これからはマリアさん・・・いいえ、マリア様!あなたの世界とあなたを護るための騎士として仕えさせてください。」
「わかったわ、時間が無いけれど、いい作戦があるのよ、この国を燃やし尽くし、そしてこの世界を終わらせるためのね・・・そのために一旦邪教徒や残党共も知らないこの世界のアジトに行くわ」

そういうとマリア様は魔方陣を発動させて私をアジトに引き連れた。
そしてアジトの奥へ進んだ。そこには二つの魂が浮かんでいた。

「これは一体・・・」
「私が保管してた、魔王ヘーゼルの魂とローデン皇帝の魂よ。悪魔共の実験の一つで魂に眠る魔力と技術だけを継承する魔法があってね、この世界だとこの二人が一番強大だと思ってね、だからこそ裏で接触していたのよ。それと同時にあなたにも不老不死の力を与えるわ。魔王ヘーゼルの魔力と魔法、ローデン皇帝の力と剣術それを継承し私に仕える最強の魔剣士となるために・・・」
「私もマリア様みたいに強くて、不老不死になれるんですね・・・けれどマリア様の場合は妖精さんの宝石の力があったから不老不死になれたんじゃあ?」

「あの後、もしも病気でもう失うかもしれない並行世界の自分がいた場合のことを思ってね、最優先で不老不死に関しては研究していたのよ。悪魔共がちゃんと研究していて助かったけどデメリットがあったから、そのデメリットを失くすためにいろんな世界を旅してようやくデメリット無しで不老不死になれる術が完成したのよ。私達みたいなのを残さず全て救うために用意したのはアバターと不老不死の術なんだから・・・」
「マリア様、本当にありがとうございます!」
「ちなみに不老不死の術の方は問題は無いけれど、魂の魔力と技術の継承だけは問題があってね、魂の意思も残ってるから下手すると魔王ヘーゼルとローデン皇帝に乗っ取られる可能性もあるわ、それでもやるかしら?」
「マリア様をそして並行世界の自分達全てを護るため、そして私の世界と運命に復讐するため、力が欲しいのです!覚悟は出来てます!」
「フフフ、いい返事ね、それじゃあ始めるわ」

私はマリア様の指示で魔方陣の上に立ち、魔王ヘーゼルの魂とローデン皇帝の魂を受け入れた!

「う、ううう・・・」
「頑張りなさい、世界と運命に復讐するために!」

その後私はすさまじい激痛で気を失ってしまった。すると何もない空間に立っていた。

「ここは?」
「ここは君の精神世界さ」

声をする方に振り向くと二人の男が立っていた。

「あなたは?」

「私はヘーゼル、そして私の隣に立っているのは」
「我はローデン、全く話には聞いていたがこんな小娘だったとはな」
「ええと、どういうことでしょうか?」
「マリアから聞いていてね、この先の私の運命についてとそして、この先マリアと同じ顔をしたこの世界の自分であるマリーに力を貸してほしいとね・・・」
「最初はびっくりしたがな、だけどマリアと過ごしていると、この先マリアが言っている通りなのだろうなって、途中で確信したわ」
「マリア様が・・・」

その後二人がなんでルドベキア王国に戦いを仕掛けたのを話してくれた。
ヘーゼル様はかつては王宮魔術師として仕えていたが、ルドベキア王国の腐敗を嘆き何とかしようとしたが、逆に追放され、裏で研究していた魔界の力を借りて戦ってる最中にマリアと出会い彼女に後を託し、勇者にはルドベキア王国の腐敗を伝えた。ローデン様は勇者ルキアの子供で誰も知らない山奥で暮らしていた。
両親のためにほかの兄弟と一緒に出稼ぎしていたところを父親が勇者でそして、ルドベキア王国の腐敗を知った。
兄弟達と相談し、両親に黙ってルドベキア王国と戦おうとしたところをマリアと出会い、彼女の支援をもとにロンド帝国を築き上げ、ルドベキア王国と戦ったが敗れ去った。
そして二人とも自分の魔力と剣術を私に託すために精神世界に来たのだった。
二人は力を託す前に邪教徒達は魔物に影響されただの破壊者に、帝国の残党はルドベキア王国に代わり、甘い蜜を吸いたいだけの無能しか残っておらんからこの世界事吹き飛ばしてよいと言った後、私は二人の魂から力を継承に成功をした。するとまばゆい光が辺りを覆うと、マリア様が心配そうに見つめていて、どうやら現実世界に帰ってきたようだ。

「どうやら無事に継承出来たようですね・・・」
「成功率高めるためにお二人に事前に話していたんですか?」
「えぇ、利用する形にはなったけど全てはあなたのため、そしてこの世界のために二人は私に力を貸してくれたわ・・・」
「二人のためにもこの国を、いいえこの世界を終わらせましょう!」
「えぇ、それじゃあ休んでる暇は無いわ、早速だけど作戦を教えるわ!」
「わかりました、それとヘーゼル様とローデン様に頼まれてることあるんですがそれもよろしいでしょうか?」
「えぇ・・・」

そして私達二人は作戦会議を開いた。私は二人からの伝言を伝え、そしてマリア様がこれから行うこの国を崩壊するための作戦を聞いた。

「なるほど、これだったら王族も大臣も皆慌てふためきますね・・・」
「そうね、まぁ邪教徒や残党共も潜伏させておくけど。まぁ元々捨て駒だったけど、ヘーゼルとローデンのお墨付きなら遠慮はいらないわね。さぁ私達が最初に行う世界と運命に対する反逆を始めましょう!」

「はい!」

そして私は作戦遂行の為に、地下牢へと戻っていった。全てはルドベキア王国を、この世界を燃やし尽くすために・・・。

自分自身のために

私は絶望の表情をしつつ、かつて義勇兵募集の為に集まった広場へ衛兵によって運ばれ、そして、処刑台に立たされていた。私の処刑のためにかなりの数が集まっており、いろんな野次が飛んできていたが、気にしないでいた。周りを見ていたら一番遠いところにラニや義勇兵の皆が悲しい表情をしながら立っていた。
そしてシバ王やリク前王にカルミア王妃といった王族が来て、シバ王は処刑台に上がり相変わらず頼りなさそうな表情から一気に険しい表情をし

「これより、反逆者マリーの処刑を行う!執行人はロベリア親衛隊隊長にお願いする!」

そういうとシバ王は頼りない表情に戻りつつリク前王とカルミア王妃のもとにすぐに戻っていき、その代わりロベリアが処刑台に上がってきた。

「反逆者、言いたいことがあるなら遺言として聞いてやってもいいぞ」
「ロベリアさん、かつて私はあなたやアリウム王子に救われました。そしてあなたにあこがれて、この国を護る騎士になろうと思いました。あの時に憧れていた優しいロベリアさんはどこに行ったんですか!」
「そうかあの時の少女か・・・それが今や反逆者か・・・悔いが残らないように教えてあげよう、アリウム王子が亡くなった事件でわかったのよ、この国を護る為には立派な血筋が必要だっていうことを!」
「勇者様もかつては庶民だったはずです、そんなこと関係ないでしょう!」
「その庶民に変装した帝国の騎士に殺されたのだアリウム王子は!傷ついた庶民を救おうと一人で駆け寄ったアリウム王子はその庶民に刺され、そしてその庶民が帝国の騎士だったんだ・・・それで私は悟った!民草は変装してるかもしれないから信用できない、血筋で固めれば疑うこともないと・・・だから私はあの後優しさを捨てて親衛隊隊長を目指し、そして隊長になって一気に親衛隊を改革したのよ、今度こそ全てを護るために!」
「そうですか・・・それであなたは自分自身のために盲目になって、王族や周りが見えなくなったんですね・・・こんなに腐ってるこの国を!」
「やっと本音が出たね反逆者・・・悔いも無いわね・・・終わりよ!」

ロベリアは話が終わると衛兵から剣を受け取り、衛兵たちは私を取り押さえ、ロベリアは剣を振り下ろそうとしていた。

「この国で最後に聞きたかったことが聞けて安心しました。これで心置きなく皆さんを、いいえこの国を!この世界を燃やし尽くしてあげるわ!」

私は事前に詠唱していた魔法を発動させて、自分を囲むように炎を解き放った!

「く、抵抗するか!親衛隊、王達を護れ、私がこの反逆者を食い止める!って何?!どこへ行った?!」

ロベリアは私がその場から消えてることに驚いていた・・・。

「ロベリア隊長、城門が破壊されております!そこから一気に邪教徒と魔物、帝国の残党共が!」
「くっ、やはり通じていたのか・・・そしていつの間にか消えたのはあの魔女の仕業か?私が王達を安全な場所まで避難させる、お前たちは今すぐ城門に向かい邪教徒と魔物、帝国の残党共を蹴散らせ!」
「了解!」

親衛隊たちはこの国を護るため動き始めていった。
私は炎を解き放った後すぐにマリア様から教わった魔方陣を展開してマリア様が待ってるアジトに戻った。

「さて、これで第一段階は完了ですね、マリア様・・・」
「えぇ、さてこれからが本番よ、そしてマリー、あなたのために用意したフルプレートアーマーと大剣よ・・・」
「これが私の新しい装備・・・早速着替えさせていただきます」

私は全身が真っ黒に染まったフルプレートアーマーに血のように真っ赤に染まったマントを着け、そして真っ黒い大剣を持ち上げた。

「どうですか、似合ってますでしょうか?」
「うんうん、私の魔剣士にふさわしい姿だよ・・・さぁ一緒に行こうか・・・」
「はい、マリア様・・・」
「さて、今頃捨て駒達は私が破壊しておいた城門から一気に攻めてるだろう、私達はさっさと元凶をつぶしに行きましょうか・・・」

マリア様は魔方陣を起動して、そして一気に王都アウレウムの玉座の間にワープした。

「ここまで来れば安心でしょう・・・っ、王達よおさがりを!」
「わ、わかった。母様、父様・・・」
「心配するなシバよ、ロベリアは優秀な騎士じゃ反逆者なんて余裕で倒すじゃろ」
「えぇ、リクの言う通りですわ、ロベリアは必ず私達を守ってくれるでしょう・・・」
「マリー、一人で大丈夫よね?」
「お任せください、マリア様は事前の作戦通りでお願いします」

そういうとマリア様はまた魔方陣を起動させて作戦通りにあの場所へ向かった。

「そのフルプレートアーマーでわからなかったけど、誰かと思えば、マリーか・・・やれやれ魔女と同じ顔してるせいでどっちがどっちがわからないのは不便だわ、さっさと始末して、ちゃんと区別できるようにしないとね!」
「区別する必要はありませんよ、あなたはここで果てるんですから」

私はロベリアの剣を、持っていた大剣で受け止めた。そして剣を弾き飛ばし、ロベリアの腕を斬った。

「な!その剣技は勇者の・・・」
「そうですよ、マリア様の力で勇者の剣術を魂に継承させてあるので体がちゃんと反応してくれるんですよ・・・さようなら、盲目で何も見えなかった哀れな騎士さん」

私はそういうとロベリアさんを真っ二つにして、一気に王達に近づいて大剣を構えた。

「さてと、遺言あったら聞きますが?」
「ひぃひぃ・・・母様、父様・・・」
「何が必要なんじゃ、金か?地位か?それとも領地か?何でも渡すから許しておくれ・・・」
「そうよ!何だってここにはあるわ、私達の権限があれば何でも手に入りますわ、だからその剣を置きましょうね?」
「はぁー・・・それで解決してきたからこの国は腐敗したんですね・・・尚更呆れました。生かしておく必要最初からありませんでしたが、マリア様から貰ったこの大切な大剣を、ロベリアの血だったらまだしもこんな腐敗しきった血で汚すのはごめんだわ・・・」
「そうか、助けてくれるのか、それで何が欲しいんじゃ!」
「何もいらないわ、この国からは・・・だから消し炭になりなさい!」

私は哀れで自分勝手な三人を燃やし尽くそうと炎の魔法を詠唱してそしてじわじわと苦しめるためあえて弱めで撃った。

「うわー!父様、母様・・・助けて・・・」
「ぬおー!燃えてしまう!誰か水を!」
「きゃー!誰か早く助けなさいよ!」
「悲鳴すら汚い・・・もう勝手に燃え尽きなさい」

私はマリア様のところに向かう前に最後の用事を済ませるために魔方陣を起動させた。
ラニ達義勇軍の生き残りはマリーが逃げ出してから適当な路地裏に隠れて、戦いを避けようとしていた。

「まさかこんなことになるとはな・・・ラニ、これからどうする?」
「うん、最後のお別れにマリーを見てから王都から離れましょうって思ったら、こんなことになるなんて・・・どうすればいいんだろう・・・」
「やっぱりあいつ、裏であいつらと通じていたってことなのか・・・ラニ、あいつと一緒にずっとにいたんだろ怪しいことしてなかったか?」
「いいえ、全然・・・だからこそマリーがあんな行動をしたのかがわからないのよ・・・」
「そうか・・・だけど、またあいつらと戦ってたらアバターって奴と戦うかもしれないだろ・・・さっさと逃げようぜ、この感じだと王都が落ちるかも知れねぇ、今の内に故郷に戻って両親を安心させよう・・・」
「そうだね・・・マリーに関してはわからないけれどとにかく両親を安心させよう!」
「結局あなたたちは見捨てるのね・・・私もこの国も・・・義勇軍の誇り何もないのね・・・」
「え?」

私はラニ達のところにたどり着くとラニ以外の義勇軍の生き残りを大剣で斬り、ラニに向けて大剣を構えた。

「ヘルムのせいでわからないけれど、もしかしてマリー?」
「えぇ、そうよラニ・・・」

私は一旦大剣を床に置き、ヘルムを外した。

「どうして、こんなことをするのよ!」
「正直に言えば最初のきっかけはあなたたちが私を見捨てたこと、そして、私のせいで両親が亡くなったこと・・・だからもうこの国を・・・この世界を許せないのよ!」
「ひぃー!」

私はあの時のアバターと同じ冷血で冷酷な無表情をして再び大剣をラニに向けて構えた。

「助けて、お願い・・・命だけは・・・最後に両親に会わせてよ・・・」
「私の方は、最後は両親にも会えなかったのよ・・・そしてあなたたちの自分の命のための行動で私や両親を奪ったのよ!」

私はそう叫ぶとラニの首を斬った。

「これでこの世界で私が斬るべき者はいないわ・・・あとはマリア様がこの世界に裁きを起こすだけ・・・
私もこの国の・・・いいえこの世界の最後を見届けないと・・・」

私はヘルムを被ると魔方陣を起動させて、マリア様のもとへ向かうことにした。

「どうやら終わったようね・・・」
「はい、マリア様・・・」

私は城の最上階にあるバルコニーに到着すると、この世界を終わらせる魔法を準備しているマリア様に近づいて跪いた。

「さて、マリーが来たからもうこれを発動するだけよ・・・」
「それにしても周りの死体は何でしょうか?」
「あぁ、それね、バルコニーに避難してた大臣共が集まってたから全部消し飛ばしただけよ」
「そうですか・・・」
「かつての親友と仲間、憧れていた騎士、そして仕えてた王を斬った気分はどう?」
「正直に言えば何も思いませんでした。もう私にとっては必要ありませんですから、今の私はマリア様と並行世界の自分達を護る騎士ですので・・・だけど、そうですね、皆自分の為に自分勝手な行動をしていましたね・・・」
「そっか・・・けれど私達も自分達の為に自分勝手なことをしてるからね、私達がこれから生き延び、そして私達を裏切った運命と世界を壊すためにね・・・これじゃあ、どっちが悪なんだか・・・
腐敗したこの世界が悪なのか、それとも世界を壊そうとしてる私達が悪なのか・・・
まぁ世界と運命は私達を悪って断定するだろうね、世界と運命に歯向かう存在なのだから・・・
それじゃあとっておき発動するから避難しましょう・・・時間が経てばこの世界は崩壊するから・・・」
「わかりました」
「まぁまだ楽園と呼ぶには寂しいけど私達だけの世界よ・・・一緒に作り上げようねマリー」
「はい、マリア様!」

そういうとマリア様と私は魔方陣を起動させてこの世界から離れていった。
そしてマリア様のとっておきの魔法が発動して、空間が次第に崩壊していき、ブラックホールが発生した。
ブラックホールは王都アウレウムを飲み込んでも勢いが止まらず、やがて世界全てを飲み込んでいった・・・

新たな戦いの始まり

その後私達は並行世界の自分達を救うためにいろんな世界を巡った。
アバターを量産させて、マリア様以外の専門家に任せようとして、国のために兵器開発していたが、事故のせいで全責任を擦り付けられようとした白衣が似合っていて、今は世界と運命に復讐のため黒衣を着た並行世界の自分マリカ、
忍者の里のエースだったんだけど師匠が裏切者だと発覚して、その弟子として自分も疑われ追われ続けていた並行世界の自分、ピンクから黒の忍装束を着た抜け忍の真里を仲間にした。
その後組織として運用することになった私達の組織をマリア様はセルフって名付けた。
まるで熾天使ことセラフみたいですねって言うとマリア様は、だったら私達は世界に逆らうルシファーってところかしらって言ってくれて、皆納得した。
そしてセルフと名付けて初めての私のみの出撃することになった。
マリア様は楽園を整理するために、マリカはアバターの改良のために、真里はマリア様の護衛なのとまだ入ったばかりで並行世界の自分の勧誘に心配があり残ることになった・・・

「それではマリア様行ってきます」
「いってらっしゃーい」
「マリア様の護衛は私にお任せをマリー殿!」
「私が改良した量産されたアバターのデータもちゃんと取って来い!」
「二人ともマリア様のことを頼みましたよ!」

私は量産されたアバターを引き連れて世界を移動した。

「さてと、次はどんな並行世界の自分かしら・・・そしてセルフをどれだけ拡大させれば全ての世界を壊し、運命に反逆して、絶対的な私達だけの楽園は出来上がるのかしら・・・そのためにもこれからも頑張ってね皆!」
「もちろんです、私にかかれば並行世界の自分を裏切ろうとするやつを暗殺させてみせます。」
「マリア様の最高の作品であるアバターを私がもっと仕上げてあげますので、マリア様はご安心してください・・・。あらゆる世界と運命を壊すために!」

マリア様達は新たに決意を固め自分たちの楽園を築き上げるため各自行動を開始した。

「ここが警視庁・・・憧れだった職場か・・・麻里愛頑張ろうと!」
「あれがこの世界の私か・・・」

私はターゲットを早速見つけ、これからどうするか考えた。
いずれこの世界と運命もこの世界の私を裏切り見捨てるだろう・・・そうなる前に助けないと!
そう思い私はマリカが開発してくれたステルス装置で身を隠し、彼女を見守ることにした。
いつ悲劇が起きるかわからないが救うために・・・

講評

評価基準について

定義魅力提示企画総合
CDECD
評点一覧

自分が仕えていた国は腐敗しており、並行世界から自分を救いに来た別の自分の使命に共鳴し、忠誠を誓うという、「真実に目覚めて自分自身が変わる」という内容は悪堕ちとも相性が良く、オーソドックスな展開である。
また、力を手に入れる過程も、その世界に存在している強大な魂を受け入れることで成立しており、世界設定を生かした無理のない流れと言える。

作品全体から見れば「悪堕ち」をテーマとした作品として十分表現できており、また悪堕ちした後の物語も尺を取ってきちんと続く形になっていることで、悪堕ち作品を魅力的に仕上げる要素は組み込まれているものの、「なにが悪なのか?」と、悪の定義が揺れ動く世界観であるため、主人公が堕ちていく先の「悪」や堕ちていく情景を魅力的に固めきれておらず、結果として作品から伺えるテーマと設定を生かしきれていない。
また、序盤から多くの設定が登場し、中盤でも魔女たちが早口で設定を喋るといった、設定を作品に詰め込もうとして設定を繋ぎ合わせた文章が連なる構成となっており、スムーズな読み込みが阻害され、読み手が作品に没入できずにいる。
こういった理由により、今回の評価の中でも特に「作品の見せ方」が低評価となっている。台詞や地の文で説明する内容を取捨選択して整理し、自然な文章と展開を心掛けることで、読み手が読みやすくなった、より良い作品になるため、これが課題である。