本レビューは成人向け漫画を対象としているものです。18歳未満の閲覧を禁止します。
憑依ラヴァー様『輝光聖姫アレスティア〜乗っ取られた愛情と淫堕に染まる魂(ココロ)〜』のレビューとなります。
レビュー
本作は、憑依ジャンルで活動している『憑依ラヴァー』の憑依好きの人が、イラストを担当している柊ぽぷらと共同で作成した成人向け漫画である。
「憑依悪堕ち」と銘打っているように、自身の得意ジャンルである「憑依」と、正義のヒロインを理想の下僕に染め上げるといった「悪堕ち」を組み合わせた、両ジャンルの良さを取り入れようとした意欲的な作品と呼べる。
まず評価したいのが、フルカラー漫画として、本編74ページという圧倒的なボリュームである。電子書籍版ではそのインパクト欠けるかもしれないが、電子書籍版が販売開始される前はコミックマーケット104にて紙の冊子として販売されている。通常、こういった機会に頒布される同人誌は本文がモノクロであることが主流であるが、フルカラーでこの厚みの冊子となれば、制作費の観点でその破格の構成の冊子とサークル主の覚悟に度肝を抜かれることだろう。
作品の構成としても、そのボリュームに見合うだけの納得ある内容となっている。
作品の流れとしては、主に以下のようになっていると見受けられた。
①【導入】変身ヒロイン登場
②【導入】世界観や悪役など設定の説明
③【導入】敵の撃破
④【悪堕ちA1】ヒロインが堕ちるきっかけの描写
⑤【悪堕ちB1】【憑依】敵がヒロインの母親へ憑依
⑥【憑依】【悪堕ちB2】母親とヒロインとの性行為
⑦【悪堕ちA2】ヒロインの凌辱
⑧【悪堕ちA2】ヒロインへの淫夢の提示
⑨【悪堕ちA2】ヒロインを堕とすための凌辱
⑩【悪堕ちA3】ヒロインが堕ちる描写
⑪【悪堕ちA4】堕ちたヒロインを屈服させる描写
⑫【後日談】他の女性を連鎖堕ちさせる
これを見るだけでも、変身ヒロインの悪堕ちAと、その母親の悪堕ちBの2系統の悪堕ちがあり、それに絡めた母親への敵の憑依と、両ジャンルを混ぜ合わせた濃厚な作品となっていることが分かるだろう。
特に濃密だったのはヒロインへの凌辱といった性行為のシーンで、悪堕ちに関しては⑥の助走区間を設けた上で⑦⑧⑨と3パート分の堕ち過程を盛り込んでおり、さらには⑩で堕ちた後に⑪で完全屈服、主人への隷属宣言といった、悪堕ちとしてはお決まりのシーンが盛り込まれており、こういった「悪堕ち過程」に関してはセオリーに沿っていて、悪堕ちとして満足できる十分な描写がされている。
一方で憑依側の描写も負けず劣らずきちんと盛り込まれている。
⑤での母親への寄生を導入とし、憑依後にその豊満な身体を味わうといった描写や、憑依状態での⑥での母娘の禁忌の性行為の堪能、およびその過程において母親の想いを完全に消し去って肉体の主導権を奪うといった行動は、いかにも憑依ジャンルの魅力が詰まった、憑依悪堕ちらしい流れである。
さらには⑨などにおいて、肉体の主導権を奪った状態で、あくまで「母親の貌」をして娘を凌辱するといったシチュエーションもポイントが高い。
このほか、悪堕ちジャンルや憑依ジャンルの魅力や良さを感じるような細かな描写が多く、作者がきちんとそれぞれのジャンルを理解し、常に向上心を持って制作に挑んでいることが感じられる作品になっている。
以下に箇条書きで本作の良かった点を述べていく。
- 「邪転の種」という洗脳アイテムがあり、これによって一般人の女性を女怪人に変貌させることができる設定がある。つまり戦闘員化や連鎖堕ちを発生させやすくするものであり、悪堕ちや連鎖堕ちの展開に期待が持てる。
- 敵(マスター)の正体が悪に堕ちた元人間であり、その言動から悪側の存在であることを明確に示している。ヒロイン(アレスティア)に対する執着も大きいことが導入部できちんと説明されている。これは悪堕ちの導入として十分である。
- アレスティア用に用意した「邪淫の種」が(やや唐突ではあるが)ヒロインの中に入って行ったことが悪堕ちの仕込みとなっており、これから内外ともに堕とされていくという展開に期待が持てる。
- ヒロインの母親(菜月)がとても性的で魅力的な体つきをしており、娘とのスキンシップなど関係性も良好である。これが後の悪堕ちや憑依におけるギャップや堕ち後の行為を引き立てる。
- 菜月が敵に憑依される際の、粘液に覆われるシーンにきちんと尺が割かれている。特に「ゴキュ」「ボキュ」「メキュ」といった異常な音や、急速に粘液が収束する表現によって「不可逆変化が発生した」ということが視覚的に把握でき、悪堕ちにおける変化の過程として興奮できる。
- マスター憑依後の菜月の身体がきちんと堕ちる前の菜月を意識しており、悪堕ちの連続性を保ちながら、母親としては変貌してしまったことが感じられるデザインとなっている。
- 憑依後にマスターが菜月の身体を堪能している。これ憑依ジャンルとしての魅力を高める行為だと思う。
- 菜月が細目キャラなので、目を閉じている状態では瞳の色が分からないため母親として擬態できており、目を開ければ憑依状態(黄色)であることが分かる。これによって憑依状態を明示できているため、地味だが良い設定だと思う。
- 種が馴染んできたからか、菜月が耳元でささやくと催眠状態になる。「キィィィ…」という効果音とともに虚ろ目になっていくヒロイン(優月)の描写は、催眠としては鉄板でありフェチ度が高い。
- 菜月と優月が風呂場でレズセックスするシーンで、菜月が「大事な娘を穢したくない」と「征服欲」が混ざり合っている描写は、「でもこれから征服するんですよね!」という完全支配、堕ち展開を期待させるのフラグとなっている。特に内側から生じる「母親としての抵抗」は、肉体の主導権を握っているマスターにとっては快感であり、さらにはそれを完全に屈服させることも憑依悪堕ちの醍醐味と言える。
- 菜月があくまで、娘の手(手淫やクンニ)によって完全に堕とされることが、母娘のお互いに背徳感があって良い。
- 「おかげで“私たち”はひとつになれたわ」という宣言が、完全に混ざり合って新しい存在になったことを印象付ける、いかにも悪堕ちらしい表現である。
- マスターがアレスティアの耳から触手を挿入して色々なことをするのは、非常にフェチ度が高い。その時のアレスティアの表情が無様に歪んでしまうのも、こういった凌辱のポイントを押さえていると感じる。
- 「お母さんは優月の味方だから」と、アレスティアを堕とすときに母親面して迫ってくるのが、変身ヒロインを堕とす術を熟知している敵の行動であり、とても良い。
- アレスティアがマスターの触手による凌辱に1回耐え、「負けちゃだめ」と、変身ヒロインの気高さを取り戻す。このように変身ヒロインに正気を取り戻させる描写を挟むことで、ここからさらに堕ちていくんだという期待が持て、さらに次にはマスターの凌辱の激化に結びついている。
- 耳から侵入して脳を直接弄ってしまう描写はフェチ度が高い。
- 「種」「開花」という設定通りに、アレスティアが花の蕾に包まれて変身していくのは、「花」を意識した設定に合っていて、きちんと悪堕ちのコンセプトが押さえられている。
- アレスティアがリリスフィアに変身していくシーンは、黒いシルエットにした上で、彼女の変わっていく全身をパーツごとに描写していくものである。これは魔法少女の悪堕ちシークエンスとして様々なアニメ作品に取り入れられている手法であり、これをそのまま組み込んでいるということは悪堕ちジャンルに対する見識が深いと言える。
- アレスティアが「アタシのあるべき姿」「新しい自分」と宣言するのも、自身が生まれ変わったこと、堕ちた姿こそが本来の自分であることを刻み込んでおり、悪堕ち的には魅力的な宣言シーンである。
- リリスフィアに生まれ変わった後で地面に降りるときに、「カッ」というヒールの音を響かせるのがいかにも悪堕ちらしい。
- なお、降り立った場所は触手の海であり「カッ」というヒール音がしないであろう柔らかい地面であることは無視できるものとする。また、踵からでなくつま先から降り立っていることもここでは無視する。
- ちなみになぜこのヒールを響かせる行為が悪堕ちらしいかというと、ヒールを履く=悪堕ち衣装へと変化したという表現であることを前提にして、そのヒールの音を響かせるという行為が「堕ちて新しい衣装になりました」という宣言になるため。
- リリスフィアに堕ちたときに、お披露目シーンで自ら「邪淫隷姫リリスフィア」と名乗るのと、マスターへの忠誠・服従宣言を行う。新しい名前を名乗ることは、自分が変化してしまったことを自ら宣言することであり、大変悪堕ちヒロインらしい行為と言える。
- マスターへの服従シーンで尻を向けて「ぷりんっ」と言わせるのもフェチ度が高い。
- マスターからの問いにリリスフィアが母親のことを斬り捨てる宣言をするのが、これは堕ちて思考が変わってしまったことと、御主人様に服従することが何よりの喜びという、自身の中での優先度が変わってしまったことを宣言しており、いかにも悪堕ちらしい行為である。
- マスターの陰茎を見せられてメスの顔になるリリスフィアは成人向け作品でよく見かける鉄板な表現であり、フェチ度が高い。
- リリスフィアの雌奴隷宣言。悪堕ちとしては蕾から出てきた時点で既に堕ち切っているようなものだが、それで満足せずに、マスターが格上の存在であることを明示し、完全に屈服させてしまっている後追いの描写は、悪堕ちとして徹底されている。
- リリスフィアに堕ちた後も後日談があって、リリスフィアの手によって一般人の女性が女怪人に堕とされるのも、連鎖堕ちという観点で悪堕ちらしくて大変魅力的である。
※以下は作品の改善点の話であるためレビューとしては読み飛ばしても大丈夫です
このように全編を通して満足度の高い作品であるが、悪堕ち作品として見た場合はいくつか改善点があると感じられた。
1点目は、敵と憑依後の母親のデザインに共通性がほぼないことだ。あったとしても左耳のアクセサリーや、黄色いジュエルや瞳の色など、デザインの要素としては限定的に見える。
悪堕ちにおいて、堕ちた後の姿が、堕ちる前の姿や堕ちる過程を想起させるデザインになっていることは重要である。これは、悪堕ちの前後で全く関連性のない状態になってしまうと、堕ちてその存在になったという「連続性」が希薄になり、悪堕ちとしては忌避されている「別人」の要素が重く出てきてしまう。つまり、見た目は敵が母親に憑依して生まれ変わった存在なのだが、連続性がなくなることで「改めて新規に登場してきた敵女幹部」という側面が強くなり、それまでの敵の説明といった導入が不要に感じられてしまうものである。マスター憑依後の菜月の姿が、敵女幹部のデザインとしては納得でき、秀逸であることも追い打ちを掛けている。
これに関しては、あくまでメインで悪堕ちさせる優月を引き立てるために、菜月の悪堕ちやその衣装のデザインのクオリティを下げるという戦略性も考えられるから一概に悪いとも言えない。(※実際にそのようなアニメ作品が存在する)
しかし、全体のボリュームや、前述の通り様々なフェチを理詰めで入れてきた展開からすると、やはり考慮不足のように感じる。
これを改善するとすれば、⑤の憑依段階ではマスターの元々衣装のデザインが想起される中間形態にしておき、完全に菜月を乗っ取る⑥のタイミングで新しい姿、敵女幹部としての姿へ変貌させても良かったかもしれない。
2点目は、⑪で敵がいきなり陰茎を生やしてリリスフィアを犯し始める点である。これが話の流れからは唐突に感じられた。
このように「女幹部がヒロインを犯すために陰茎を生やす」という展開は成人向け作品にはよくあり、非常にお手軽なヒロイン凌辱の導入になるのでよく用いられる。例えば悪堕ちジャンルにおいても、敵女幹部が生やせば彼女の能力が万能でありヒロインを堕とす過程に説得力が出るし、悪堕ちしたヒロインが生やせば悪堕ちして手に入れた「新しい力」の表現になり、どちらも悪堕ちジャンルとは相性が良い。しかし、なんの説明もなしに前述のような導入としてしまうと、展開や設定が雑に見えてしまう。
また、マスターが陰茎を生やしながら「ヒロインを犯したい(犯したかった)」という設定もいきなり出てきたように感じられ、唐突さに拍車を掛けている。このような唐突さがあるので、マスターの使役する粘液状の触手と、それから生やした陰茎の使い分けも説明不足感が否めない。
これに関する改善方法はいくつかあるが、最も簡単なのは陰茎を生やす段階で、マスターがヒロインに対する劣情を漏らし、陰茎を生やせる能力も持っていることを説明することである。
ただ、漫画作品であるから、いきなりそこで説明するよりは、こういったフラグは漫画全編を通して散りばめられていたほうが、よりスムーズに設定を受け入れられると考える。例えば、マスターのアレスティアに対する劣情は開幕の②でそれとなくほのめかしておき、陰茎を生やせる能力については⑥で菜月が堕ちたタイミングで股間部に手を当てて「ポゥ」と瘴気を生じさせるなどしてそれとなくほのめかしておくとか、またはその場で生やして自慰を始めるとかなどの直接的な表現が考えられる。前者の劣情に関しては同じく⑥のタイミングでもいいだろう。
3点目は、⑫でリリスフィアが一般人の女性を侵食させる能力を持っている点である。これも話の流れからは唐突に感じられた。
ヒロインが悪堕ち後にどのような能力を持っているかは、悪堕ちとして重要である。例えば、戦闘員化などに見られる、全ての能力が奪い取られた状態であれば無様感が増すし、逆に主人を超えるほどの能力を持っていれば、それだけの力があるのに主人に甲斐甲斐しく従っているという、これまた悪堕ちの魅力が増すような潜在的な設定になり得る。いわばどこまで主人を追従できるか、主人と悪堕ちヒロインの「格」の上下の話でもあり、今回に関しては、他人を侵食し女怪人を生み出す能力がマスターだけのものか、それとも彼に堕とされて生まれたリリスフィアも同じ能力を持っているのかで、悪堕ちヒロインに対する解像度が異なってくる、という話である。
これに関する改善方法はいくつかあるが、どれを取るかは好みの問題になってくるだろう。
たとえば、最後に一般人の女性を襲うシーンで、彼女を前にしたリリスフィアの後ろでマスターが「私の教えた通りに上手くやるのよ」と言えば、読者としては「なるほど、特に描写はなかったけど、マスターと同じようにリリスフィアも悪堕ちによって怪人化能力を身に着けていて、このシーンに至る前にマスターから手ほどきを受けていたから難なく使えるのか」と、納得できる。
2点目と3点目を合わせて、⑪から⑫に掛けて急に話を閉じ始めたという印象が強くなり、悪く言えば尻切れ感を感じてしまい、ここまで理詰めできちんと順を追って構築してきた作品なのに最後がもったいないなと感じてしまった。
4点目は、これは悪堕ちジャンルとしての観点ではなく展開として疑問に思った箇所であるが、マスターが菜月を乗っ取る際に、マスターが菜月の背後に突然粘液の姿で出て来た点である。
これは、冒頭でマスターがアレスティアによって倒されて消滅したと思わされていただけに、どこから出てきたのかと少し疑問に思う箇所である。冒頭の展開的には「邪淫の種」の中に入ってしまったように見えたので、種とは別に本体が存在している理由が分からなかった。
上記のように3点の改善点と、1点の疑問点はあるものの、作品全体を見るときちんとした構成になっており、各所にフェチポイントもあり、悪堕ち作品としても、憑依作品としても、大変満足できる作品であった。