昔からあることですが、定期的にこういった、版権元に「二次創作を行ってもいいですか?」という問い合わせを行う人が出現しています。本記事において、どういった行動は控えるべきか、理由も添えてまとめていますので、そういった人がいればこの記事の内容を元に考え直して欲しいことを伝えてください。

※記事に出てくる「版権元」は、コンテンツ配信会社のことで、個人ではなくビジネスが主目的の法人を想定します。つまり本記事における二次創作は「企業とファン(個人)」の関係においてファンが行うものであり、個人と個人の関係ではまた別の話になることに御留意ください。

目次

禁忌行動一覧

版権元に二次創作を行っていいかの確認を取ってはいけない

あなたがどれだけコンテンツを愛していても、二次創作を行っていいかと問い合わせてはいけません。なぜならば、二次創作は著作権侵害になるため、版権元は許可を出しません。

当たり前のことを聞いているので、当たり前の返答が返ってきます。
あなたがコンテンツを愛しているのであれば、こういった当たり前の返答を行う労力を版権元に掛けさせないでください。

版権元に自分の活動を確認するよう強制してはいけない

あなたがどれだけ熱心にファン活動しているかを伝えることは、版権元も大いに喜ぶことでしょう。

ただし、それはファンレターの範囲に留まります。版権元に活動内容を確認するように迫ることは、やはり版権元に労力を掛けさせることになります。あなたがコンテンツを愛しているのであれば、版権元に手間を掛けさせない、こういった気配りも忘れないでください。

版権元に他者が主催しているイベントの確認を取ってはいけない

あなたは、その他者と問題を起こしてしまったので、腹いせに「密告」したいのですね。

あなたが怒りに震える気持ちも分かりますが、密告するということは仲間を売るということ。そういう行為を行ったあなたがこの先も信用されるとは思わないほうが良いでしょう。

そして版権元も、そういった個人間のいざこざを仲裁するくらい暇ではありません。版権元に迷惑を掛けないでください。

版権元に他者が頒布した有償商品の確認を取ってはいけない

あなたは、その他者と問題を起こしてしまったので、腹いせに「密告」したいのですね。

上記に同じです。

版権元にファンに対して二次創作をやめるよう促す提案をしてはいけない

あなたは、二次創作を行う仲間たちと問題を起こしてしまったので、腹いせに仲間たちの活動の邪魔をしたいのですね。

上記に同じです。

版権元に後出しでライセンス料の支払いを提案してはいけない

そもそも「ライセンス料」とは何でしょう?

他者が権利を持っている様々なコンテンツについて、ライセンス契約を交わした上で、そのライセンスを使用するために払うお金のことです。つまり、コンテンツを使用する前・物品を販売する前に契約していないといけません。

後出しでライセンス料を払う提案をするのは、あなたは自分自身で「あなたのコンテンツを使用した代金は踏み倒す気でいました」と宣言するようなものです。そういう宣言をする人と信頼関係が築けるでしょうか? よく考えてみてください。

「ライセンス料」ではなく「罰金」や「慰謝料」の間違いではないでしょうか。

版権元にライセンス契約を持ちかけてはいけない

版権元の二次創作ガイドラインを読みましたか?

そこには「一般のお客様とライセンス契約を結ぶことはありません」と書いてあるでしょう。

当たり前のことです。

もしもそれでもライセンス契約を結びたいのであれば、あなたがきちんと努力して、版権元にビジネスパートナーとして認められるくらいの信頼と実績を積み上げた会社の一員となってから、改めて営業として提案してください。

版権元に模倣・インスパイアされた商品を作ったと報告してはいけない

前述の通り、版権元は二次創作を許可しません。

あなたがコンテンツを愛しているのであれば、こういった当たり前の返答を行う労力を版権元に掛けさせないでください。

版権元に自分の作品やアイデアを参考にして欲しいと伝えてはいけない

2019年7月18日に発生した「京都アニメーション放火殺人事件」を知っていますか? あの事件の犯人は、京都アニメーションに送った小説を盗作された(※)として逆恨みし、犯行に及んでいます。

あなたがこの犯人と同じではないといくら主張したところで、版権元に自分の作品やアイデアを送るということはそういう危険性がある行為だと周囲は認識しています。

それに、そういった盗作と判定される危険性がある以上、版権元も、たとえ元々販売を想定していたものであっても取り下げざるを得ません。つまり、あなたのその行為が、未来の可能性を潰しているのです。

絶対にやめましょう

※現在判明している事実は、犯人が京都アニメーションが主催する賞に小説を応募していたこと。しかし一次審査で落選していたため中身は確認されておらず、盗作とは考えられないものだった。にも関わらず「アニメのあのシーンがパクられた」という犯人の主張からは、盗作の事実の有無に関わらず、「自分のアイデアは独創的なものである」という考え方、そしてそれを送りつけた相手が同じアイデアを起用すると「パクられた」と錯覚し、「許せない行為だ」と怒りに身を任せてしまうことが読み取れる。

版権元に自分のアイデアを製品化するよう伝えてはいけない

上記に同じです。

もし製品化したいのであれば、あなたがきちんと努力して、版権元にビジネスパートナーとして認められるくらいの信頼と実績を積み上げてから、改めてビジネスとして提案してください。

もしそうでないなら、あなたはそういった当たり前の事ができない人間だということです。

版権元の商品は類似品が多いから自分が真似ても問題ないと主張してはいけない

あなたは恐らく他者からガイドライン違反や著作権侵害を指摘されて、反論するために躍起になっているのでしょう。
ですが、その事実はきちんと認めてください。

あなたがよく目にするデザインは、あなたから見ればありふれたデザインかもしれませんが、別にあなたがデザインしたものではありませんし、あなたが権利を持っているデザインでもありません。
版権元の権利を侵害しているのであれば素直にそれを認めてください。

版権元に海賊版の是非を聞いてはいけない

絶対に駄目」という回答が返ってきます。むしろ、その是非を問い合わせたあなたが海賊版の流通に一枚噛んでいると思われても仕方ありません。

あなたがコンテンツを愛しているのであれば、あなたの無知で版権元を失望させるとか、こういった当たり前の返答を行う労力を版権元に掛けさせないでください。

版権元に物理的に物品を送ってはいけない

あなただって、いきなり自宅に「家庭菜園にお役立てください」と言って土が1トンも届けられたら大迷惑でしょう。

事前の取り決めがないのに、相手が求めていない物品を送りつける行為は迷惑なのでやめましょう。

また、他人の著作物を送ったり、他社の製品を送ることも別の視点から見て迷惑です。万が一、版権元がそれを求めていたとしても、相手はコンプライアンスに基づいて自ら購入します。あなたに頼ることはありませんので安心してください。

版権元に自分が手伝わせてくださいと提案してはいけない

あなたはとてもやる気がある人なのでしょう。

でも、版権元は会社としてコンプライアンスを重視していますので、見ず知らずの人を雇うことはありません。
まずはきちんとした就職活動や転職活動から始めるのが正しいアプローチと言えます。

版権元に自分の提案を実施すれば社会貢献になると言ってはいけない

そもそも「社会貢献」とはなんでしょうか。

あなた自身がよく分かっていないもの・説明できないものなのに、あなたがそれを版権元に提案するということは、あなたの提案が説得力がないことをあなた自身がよく分かっているから、不明瞭な要素を出して議論を煙に巻いているように見えます。

もう少し腰を据えて考えてみませんか?

【コラム】なぜ版権元に二次創作の許可を取りに行ってしまうのか?

なぜ版権元に二次創作の許可を取りに行ってしまうのか、この話は前述のように定期的に出てきます。時代によって文化や価値観が変わってきますので一概には言えませんが、やはり前述の通り「腹いせ」に問い合わせる人が多いようです。それぞれの「なぜ?」に焦点を当てながら、行動パターンについて解説します。

腹いせのため

二次創作を行う仲間同士で仲良く活動していたのに、例えばガイドラインに反していると指摘されたり、特定の人と仲が悪くなってしまったので、腹いせのためにその界隈を潰し、活動を困難にさせようとする人がいます。

そういう人が版権元に問い合わせるとすれば、それは版権元から「NG」という回答を敢えて貰うことで「お前たちの活動は違反している」と、まるで公式のお墨付きを得たかのように権力を盾に活動を潰すためです。または「密告」、つまり仲間を売る行為ですね。

小学校の頃とか、「あの子が意地悪する」と、その子が先に手を出したのに、先生に伝えて自分は悪くないことを主張するような子がいましたよね。ああいうタイプの、自力で問題を解決できないので権力にすがる人間だと思ってください。

純粋に無知だったため

知らなかったのなら、いま知りましたよね。解決。

問い合わせれば許可される可能性があると考えているため

よくニュースとかで「店の前には張り紙で『マスクありません』と出されていたが本当は在庫があるかもしれないので店員に聞いてみた」というシーンが出てきましたよね。あれと同じ思考で、「表向きはNGだが問い合わせれば許可される」とか「こちらから好条件を提示すれば許可される」とか考える人がいます。

そんなことないですよ。

そういう例外を認めると対応が難しくなるので一律で禁止にしているはずです。

利用に即して問い合わせるような環境で育ってきたため

特定の製品(特にデータやソフトウェアですね)を購入する際、または購入した後で、この製品をこのように使うのはOKかという、製品の利用範囲を確認することは、ビジネスシーンでもよくあることです。

特に近年では3Dモデルなどを個人制作して販売する人も増えましたので、どういった利用なら許可されるかを販売者に尋ねるのは広く一般的に行われるようになりました。

これと同じ考え方で、版権元に二次創作の可否を問い合わせる人がいますが、そもそもキャラクターなどの「コンテンツ」の利用権を購入したものではないので、利用範囲の話が出てくること自体がおかしいですよね。

だから「純粋に文化が違う」は擁護にはならないです。

二次創作を行っていいか不安なため・正式に許可が欲しいため

人間、これから行おうとする行為が、やっていいのか、正しいのかと、不安になるときはありますよね。

Z世代と呼ばれる90年代後半から2010年に掛けて生まれた世代には、効率性を重視し、正解以外の選択肢を敬遠する傾向があると言われてます。「とにかくやってみろ」という指示に対して「正解を教えて欲しい」となるような状況は、まさに世代によって価値観が異なっている典型例と言えるでしょう。逆に、失敗が許されない・失敗すると大事故に繋がるような環境であるから、正解に固執してしまうという事情もあるかもしれません。

そういう人たちが正解を求めて、つまり「許可を版権元から得た上で二次創作を行う」または「版権元に確認してNGならやらない」という行動を取ることは、とても論理的な思考です。

しかし、そもそも二次創作、もっと言えばファン活動を行うために許可がいるものでしょうか?

「許可」がなぜ必要か、または「許可」とはなにか、考えてみてください。例えば「あなたの住所をインターネット上で公開したいので教えて欲しい」と聞かれたら、十中八九「NG」となると思います。しかし、「あなたに誕生日プレゼントを送りたいので住所を教えて欲しい」となると、人によっては「OK」となる場合があります。これが「許可」です。

つまり「許可」とは、その行為(または情報へのアクセス)の目的が妥当であり、かつ本人が問題ないと判断した場合に下されるものです。

版権元の許可とは、例えば前述の「ライセンス契約」も該当します。
版権元の権利を守った上で、版権元の名誉や著作物のイメージを損なわず、かつ版権元の利になるような利用範囲において「許可」となるのではないでしょうか。

著作権法違反は親告罪です。こういった「著作物の適切な利用」(例えば二次創作ガイドライン)において版権元が利用を許可しているのであれば、それはパクりでありオマージュでありインスパイアであったとしても問題ない利用です。コンテンツが盛り上がる・ファンが増えるといった版権元の利になるような利用であれば、版権元がNGを出す意義は極端に薄いです。

逆に版権元が「お前たちにファン活動をする権利をやろう」という態度で接してきたら、あなたはどう思いますか?
それでも「分かりましたあなた様の指示に従います!」と喜ぶ人はいるでしょうが、それも「ファン活動」に対する考え方次第だと思います。

こんな感じで、ファン活動なのか、それとも版権元に害のある行動なのかは、線引きが難しく、それ故に「グレーゾーン」と表現されています。
※任天堂の故・岩田社長の第70期定時株主総会でのQ14の応答内容が参考になります

グレーゾーンに、こちらか踏み込んでしまうのも版権元との信頼関係を壊してしまいますし、逆に版権元がグレーゾーンに踏み込んできても信頼関係を壊してしまうようなことになるでしょう。

だから総合的に見て、「ファン活動なのであれば許可を取りに行くのは趣旨に反する」とは考えられないでしょうか?

ちなみに、仮に許可を取りに行って「OK」であれば安心して活動できるとして、「NG」だったら「じゃあ活動をやめます」となるのでしょうか? そしてそうなる人は本当にファンだったのでしょうか?

「二次創作の是非」を考える前に、まず「版権元に確認しに行く」意義やその結果について、考え直してみてください。